食味計について
美味しいお米はタンパク値が低い米、アミロースが低い米、食味値80点以上の米、最近よく聞く言葉だと思います。これはお米の検査の時、食味計という機器で測定した数値や総合点数のことです。果たしてそれだけでおこめの味の評価が決められるのでしょうか?
食味検査
食味検査には二通りの方法があります。官能検査と理化学検査です。

官能検査
食味計が出来るまではこの方法、人に食べてもらい判断、味、香り、色、粘り、硬さ、歯ごたえなど総合的に判断できる。個人的な好みも含まれる。
理化学検査
玄米や白米の成分を、物理的、化学的に測定してその数値から食味を判断する。炊飯しなくても検査場などですぐに結果が出るので便利です。食味計はこの検査の一種、米の粒に近赤外線をあて光の吸収率から米粒の整粒歩合、水分、アミロース,たんぱく質、脂質の量をもとに各メーカー独自の計算式で算出したものを食味値と呼びます。香り、白度、食感、ミネラル、酵素・・・・・などは検査対象外です。食味計のメーカーによっては官能検査のデーターも計算式に組み込んでいるところもあります。

食味計による食味値
食味計で測る食味に関わる化学成分は水分、たんぱく質、脂質、デンプンなどで食味要素のほんの一部です。

タンパク
最近の研究で、味を良くするタンパク(クロテリン)と、味を悪くするタンパク(プロラミン)があるらしいとわかってきた。だが、食味計ではタンパクの種類までは測定できない。タンパクはタンパクでひとまとめに測定されてしまう。タンパク値の高い米はまずいとよく言われるけれど、タンパク値が高くても美味しい米はあるのだ!!
脂肪酸
脂質が分解して脂肪酸になると古米臭がしたり、ごはんが硬くなると言われる。だが、今の食味計では脂質は測れても脂肪酸を分けて測るのはとてもむずかしいのだ。
アミロース
デンプンには粘り気のないアミロースと、粘り気のあるアミロペクチンの2種類がある。アミロースが多すぎると硬く粘りの少ないごはんになる。もち米はアミロースが含まれていないので粘りがある。だが、近赤外線はアミロースとアミロペクチンの微妙な違いを測定するのが苦手。両者が混同して測定されている可能性もある。


食味値やタンパク値はあくまでも目安で、すべてではないと言うことを知っていただきたい。やはり美味しいお米は生産者と消費者が、実際そのお米を食べて「うまい!!」\(^o^)/と思ったお米がその人にとって一番うまいお米かも知れない。私は食味計を否定しているわけではありません。低タンパクのお米を作る努力もしています。お米を通して作った人の苦労や思い入れを共有していただければ、お米の味がよりいっそう深まると思います。お米の好みは千差万別、マシンだけで画一的に決められるものではないと思うのですが・・・・・。(黒川)
参考資料(現代農業)
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